mosablog@UC Berkeley MBA/MPH

カリフォルニア大学バークレー校でMBA / MPH留学している医師です

MBA/MPHに留学する意味

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医師の方で諸事情によりMBA(Master of Business Administration)やMPH(Master of Public Health)に興味を持たれる方はいると思います。

医学生のころから疫学や母子保健に興味があったのでMPH、国際保健に興味があり製薬・医療機器メーカーと協働しているうちにビジネスに興味が出てMBAなど。

そんな中MBA/MPHのDual Degreeとかいう美味しそうなコースを提供する大学がチラホラあるので、迷っている方に向けて、Dual degreeの長短をご説明します。

学べること

MPH

一概にMPHと言っても医師がイメージする以上に様々な切り口があります。Berkeleyでは必修科目のようなコアな部分はわずかで、ほとんどは選択科目を自由に取る感じになります。各自が特化したい方向性に従って選んでいくので、経験することも違います。Health Policy Managementのように行政側とPrivate sectorがどのように動いているのかを学んだり、Epidemiology/BiostaticsのようにRで統計解析するのを授業で学んだり、Maternal, Child & Adolescent Healthで母子保健の切り口、Public Health NutritionでFood policyの切り口、感染症、などなど。

医師としては何だかんだ知ってる気のする医療の領域なので、知的好奇心が満たされます。

MBA

こちらも選択科目をいろいろ組み合わせるので大分個人差はありますが、ざっくり医師目線で言えばHard skillとしてお金の動き方を学び、Soft skillとして社会人としての働き方を学びます。

Hard skillとしてはAccountingつまり簿記を学んだり、Financeで将来のお金を現在の価値に直すとどのくらいになるか考えたり(今100万貰うのと1年後に100万貰うのは価値が違いますよね?)。Pythonを使ってMarketingの分析をしたり。他に業界に特化した授業もあります。Real estate, Food industry、Energy、などなど。EntrepreneurshipやVCとかの授業もあります。

Soft skillとしてはNegotiationや、エビデンスベースの採用面接の仕方、Public speaking、などなどあります。医師は多くの人と関わる仕事ですが、人との接し方って教わることはあまりないのでこれも面白いです。

MBAでは1年目と2年目の間でサマーインターンを多くの人がやり、ここで現場経験を積むのもかなり重要です。MBAに来る人の多くはキャリアをなんかしらの形でPivotしたい、キャリアチェンジしたい人が来るので、そういう人にはそのキャリアチェンジが自分にあっているのか、仮説を試すチャンスです。働く場所を日本からUSに変えてみたいけど実際どうなの?元々Energy業界やってたけどConsultingてどうなの?MarketingやってたけどProject Managerは自分に合うかな?など、ロケーション・業界・職種のpivotを試します。双方良ければ終わってからフルタイム採用のオファーが貰え、卒後のキャリアに繋がります。

 

卒後キャリア

何を学ぶか以上に、卒後に何ができるかが重要。

MBAではキャリアチェンジで来ている人が多いため、学校側もいかに良いアウトカムを提供できるかに力を入れています。就活支援室に当たるCareer Management Groupがイベントを様々企画したり、1:1のブレインストーミング・面接練習を行います。

また採用する企業側も普通のインターンとは別にMBAインターンのコースを設けていることが多々あります。MBA採用に積極的な企業は1次面接を大学内でやってくれたりもします。

起業したい人向けにはそういう授業もあるし、Startupを支援するincubatorもあります。

一方MPHでも卒後キャリア対策はありますが、MBAほどはリソースが割かれていません。学生が各自頑張っている印象です。

Dual Degreeの強みは両方のネットワークが使えることですが、MBA側を前面に出してネットワーキングするのが主です。

ネットワーキングって?て感じかもしれませんが、特にUSで就活するなら、働きたい企業の人とcoffee chatなどして顔をつなぐことが本当に大事です。私もある会社の人と電話で30分ほど話させてもらったとき、「じゃあHRのファイルにフラグ立てとくね!」と言われ、実際それで書類審査は通りました。同じ会社の別な部署にも応募しましたが、そこは誰とも話さなかったせいか書類落ちでした。

キャリアチェンジをして企業に就職したい、という場合はMBAに軍配があがります。一方、医師が引き続き病院に戻るならMBAは無駄が多いです。いっそMHA(Master of Health Administration)は卒後キャリアが病院経営なので、それのほうが意味をなす気がします。

 

MBA/MPHでおすすめの大学

MBA/MPHを検討しているひとでよく名前が挙がる大学を紹介します。

UC Berkeley

弊社、カリフォルニア大学バークレー校。大学全体としてもUSの公立大ではトップ校であり、MPHもMBAもリソースが豊か。最近校舎が新しくなりました。ベイエリアにあり、テックのメッカと思いがちですが、バイオ系も大きな産業です。

気候は最高。見落としやすいところだけど、Family Housingも多分選択肢の中ではNo.1。

MPHは感染症が強いっぽい。Health Policyも強み。

モリー大学

Emory UniversityはMedical school, Public Health側が強い。MBAもそれなりに有名。

ジョンズホプキンス大学

Johns Hopkinsは言わずとしれたPublic Healthの名門。新し目のMBAがあり、MPHとうまく連携しているらしい。

CEIBS + Johns Hopkins MBA

CEIBSは世界的にもグングンきてる中国のMBA。Johns Hopkinsは前述のMPHトップ校。激アツな2校のJoint program。ただ上海とボルチモアに1年ずつ住むことになり、明らかに子供・家族持ちには向いてない気がする。あと結局各校のプログラムに1年ずつ在籍するだけなので、うまく連動していない、お互いが何教えているかはよくわかっていない、という話を聞いた。

UCLA

カリフォルニア大学ロサンゼルス校。医学部は有名。MBAも有名だけどみんなエンタメ業界な勝手なイメージ。気候も最高。ハリウッドも近い。

Dual degreeじゃないけどヘルスケアの強いMBA

Wharton MBAはHealth Care Managementって副専攻みたいなのがつけれる。NorthwesternもMBAはトップ校だし医学部も強い、けど寒い。他にYale, Darden, Columbiaとか。

まとめ

卒後キャリアを重視するのかどうかをまず考えましょう。そのうえで、2年間どういう生活をしたいのかでロケーションやプログラムスタイルを選ぶ。そうすると必ずしもDual Degreeでなくてもいいかもしれません。

よーく考えるのも大事ですが、後は複数出願して受かったところに行くだけです。受験を検討しているかたは頑張ってください!